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人生八策

令和時代を生き抜くための

​人生の戦略と戦術を組み立てよう

一、時代の流れを想定する

二、良い環境を選択する

三、心身の状態を保つ

四、人と違うことを良しとする

五、簡単をなるべく好まない

六、子々孫々、先祖を意識する

七、家事・育児・介護をする

​八、お金に支配されない

どのような「時代」を、どのような「環境」で、どのような「人々」と、どのように「生き、死ぬ」か。

​人生の戦略は、たった、これだけのことである。

家計八策

これまでの当たり前を、新しい当たり前にする

一、家族で協力する

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八、お金のことを学ぶ

二、家計を管理する

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七、老後は介護を想定する

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三、資産形成は末代まで行う

六、教育資金は資産を分ける

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四、保険は最低限にする

五、住宅ローンは無理しない

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​ これも当たり前のことですが、家計を管理していなければ、想定される未来の出来事について十分に対応することが難しくなります。

 人生八策において「一、時代の流れを想定する」としていますが、例えば、今後、我が国は、少子高齢化社会のもと、税と社会保険料の負担が増すことが予測されています。これは、可処分所得が減ることにより貯蓄効率が低下することを意味します。仮に、このような状況を想定するならば、夫婦共働きでなるべく稼ぐようにする、無駄な出費を今のうちに削っておく、お金が貯まりやすくなるように資産運用を行う、住宅ローンを早めに返すなどの対策を打つことができるでしょう。

 その根拠になるのが「家計管理」です。家計のどこが芳しくないかを把握することで、適切な対応が図れるようになります。家計の管理は健康管理と同じです。健康状態がわかっていなければ、どのように健康を改善すれば良いかわからないのと同じです。

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​三、資産形成は末代まで行う

​ 明確な定義があるわけではありませんが、資産運用は消費の先送りといわれます。要は、老後のようなライフステージを想定し、生きている間にお金を使うために貯めることが目的になっています。一方、資産形成は、子々孫々、末代に至るまで財産を遺していくためのものです。この中には、資産運用と同じく、老後のために貯めるという目的も含まれていますが、それを超越した存在が資産形成という概念です。

 人生八策の「六、子々孫々、先祖を意識する」には、このような意味が含まれており、歴史という長いスパンに立つことで資産家に近づくことができることを物語っています。

​ よく「一代限り」といわれますが、個々の人生は、そもそも、死してなお続くと考えるのが古からの教えです。本来、一代限りという言葉は日本人の潔さを表す概念で、それには、子や孫の代にまで迷惑をかけず、自分の代で憂いを断ち切るという意味が含まれています。つまり、子や孫が憂いを抱かぬよう、未来永劫、万全の体制を自分の代で築くことこそが資産形成の目的といえます。

​四、保険は最低限にする

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​ 保険の目的は「リスクマネジメント」です。本来、リスク(Risk)とは、危険ではなく「不確実」なことを意味する言葉です。つまり、リスクマネジメントは、物事の不確実性に対しどのように備えるかということになります。

 日本人は、この基礎概念をあまり持たずにいろいろな保険に加入しているのが実情です。保険は、不確実性に対する備えであるため、保険に入る際は、本来、不確実性の高い状況を想定し、優先度に対応する形で加入する必要があります。

 一般家庭においては、不確実性が最も高いのは火災など多額の損害が想定される事故です。このため、火災保険が最も優先度が高くなります。次に不確実性が高いものは自動車事故による損害でしょう。これに対応するのが自動車保険です。

 このように見ていくと、損害保険は、保険本来の目的に合致している金融商品と言えますが、今日のような社会では、生命保険や医療保険などのニーズが異様に高まっています。生命保険は、死亡に伴う経済的な不確実性に備えるためのもの、医療保険は、病気やケガに伴う経済的な不確実性に備えるためのものです。しかし、ここで考えておきたいのは、火災事故や自動車事故と比べ、死亡や病気、ケガに伴う経済的な損害が大きいかどうかという点です。一般的には前者の方が後者よりも大きいのは当たり前ですが、ましてや、死亡や病気、ケガに対する保障は、公的年金保険や健康保険などの社会保障制度によりある程度カバーされるため、そこまでの必要性はないと考えるのが妥当といえます。

 人生八策の「四、人と違うことを良しとする」は、まさにこのことを物語っており、みんなが入っているから、親から入った方が良いと言われたから、という理由で、多くの方が生命保険や医療保険に加入しているように思います。

 金融庁は先日、このような点を問題視し、生保各社に対し、公定保障を前提にした民間保険への加入検討を徹底するよう方針を打ち出しました。この背景にあるのは家計資産の有効活用を目的にした「貯蓄から資産形成へ」の流れです。保険ひとつを取っても時代の流れが大きく変わってきていることが伺えます。

五、住宅ローンは無理しない

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​ 新型コロナ感染症拡大による経済の悪化を受けて、住宅ローンが返済できないという問題が大きくクローズアップされました。このような問題が発生した原因は、実をいうと、コロナによる経済的なダメージというよりも、その多くが「背伸び」にあります。要は、返済能力の限界で住宅ローンを借り入れ、無理のある返済計画を立ててしまったことに起因しています。

 このようなケースが生じやすくなったのは、銀行の経営不振が長引いているという時代背景があります。つまり、コロナ後に始まった話ではなく、その前からこのようなケースが問題視されていたわけですが、銀行の経営不振が長引いているのは、一重に、日銀の金融緩和政策です。2016年、日銀はマイナス金利政策を実施し、特に、それ以降、住宅ローンの債務不履行問題が後を絶たなくなりました。

 国が悪いのか、銀行が悪いのか、それとも契約者本人が悪いのかは、ここでは問題にしませんが、個人レベルで考えるならば、理由はどうあれ、住宅ローンを借りる際は、無理な借り入れを行わない方が良いというのは当たり前のことです。

​ 住宅ローンを無理に組んでしまうと、必然的に、その後の人生においてお金に支配されやすくなります。人生八策のうち「八、お金に支配されない」が当てはまりますが、能動的に家計管理を行い、その上で、我が家に合った住宅ローンの組み方をしていく必要があります。

六、教育資金は資産を分ける

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​ 世間では、子どもの教育にかかるお金を一緒くたにして教育資金と表現しています。教育資金の準備方法がよくわからないという根本的な原因はここにありますが、教育資金という言葉を、まず、「教育費」と「進学資金」の2つに分けて考えていく必要があります。こうすることで、教育費が家計支出、進学資金が貯蓄・運用するものと整理することができます。

 教育費は毎月かかる家計支出であるため、この分については準備して賄うものではないことがわかります。このようなことから、教育費は毎月の支出として費用計上していきます。一方、進学資金は、義務教育過程以降に必要な高校・大学などの学費を賄うものであるため、預貯金などの安全資産と比較的リスクの低い資産とに分け、バランスよく長期的に管理・運用していく必要があります。

 未だに学資保険のニーズが高いように思いますが、おそらく専門家のご家庭では、日銀が金融緩和政策を行っている限り加入しないと考えている方が多いのではないでしょうか。人生八策においては「二、良い環境を選択する」に該当しますが、この場合、金利環境が悪いため、進学資金を準備する方法として学資保険は選ばないと考えていることが伺えます。

 進学資金を貯める際のポイントは、児童手当をベースに、大半を安全資産で貯蓄し、一部を時代の流れに合わせてリスク資産で運用することです。金融環境に合わせて適切な貯蓄・運用方法を選択する。この考え方は、すべての資産形成に当てはまります。

七、老後は介護を想定する

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​ 我が国における、人生の3大リスクとも呼べる介護ですが、老後の暮らしを不安視するなら、まず、要介護状態になった場合を現実的に想定する必要があります。ここでいう現実的の意味は、介護人材が不足する可能性が高いことと、国の方針として在宅介護を推奨している点です。例えば、民間の保険会社が取り扱っている介護保険商品は、要介護状態などになった場合に一定の給付金が支払われるものですが、これは単なるお金の話です。つまり、お金があっても、介護人材が不足するような世の中では、そのお金は期待していたような効果を発揮できないでしょう。また、在宅介護を余儀なくされる場合、お金以上に時間の問題が発生します。普段の家事に加えて介護のために時間を割く必要が出てくるため、お金よりも家族同士の協力体制の方が優先度は高くなります。

 確かに、老後の暮らしを支えるためにお金は必要です。しかし、人生八策のうち「二、良い環境を選択する」に基づいて考えるならば、老後を安心して過ごしたいというような漠然とした目的でお金を貯めようとするのではなく、介護人材が不足する世の中においても、在宅介護を中心に家族で支え合えるような体制を構築するためにお金を貯めると考えることで、どのようにお金を貯めていけばいいかが見えやすくなります。今のように金利環境が悪い下では、少なくとも民間の介護保険に加入するという選択はしないでしょう。

 老後のおいて認識すべき最大のリスク(不確実性)は介護です。他にも、マイホームの出口戦略や空き家対策、成年後見・任意後見、相続といった大きなライフイベントがありますが、お金だけでは解決できない、より本質的な部分に着目して対策を練っていく必要があります。

八、お金のことを学ぶ

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​ これまでの当たり前を、新しい当たり前として認識することが、家計八策の目的です。時代が変わり、環境が変わり、それらに応じて家庭に求められる内容も変わってきます。人生は生々流転するものであり、姿かたちを変えながら移り変わっていきます。にもかかわらず、私たち人間は、変化をあまり好まず、安定してそこにいられることを望みます。

 温故知新という四字熟語がありますが、文字通り、古きを温め、新しきを知るという意味です。大切なものは変える必要はありません。むしろ、意図的に変えない方が良いといえます。しかし、すべてを変えない生き方は、時代が変化する中では不可能です。変える必要のあるものは柔軟に変えていく。その過程で新たな学びが生まれます。

 10年前と比べ、私たちを取り巻く金融・経済の環境は大きく姿を変えました。特に、私たちにとって身近なのは、資産を活かすという考え方が定着しつつあることです。まだまだ、この国の資産形成自体、多くの問題点を抱えていますが、いずれ時代の変化とともに改善され、新たな当たり前として認識されるようになるでしょう。

 それに不可欠なのが、金融や経済、家計といった「お金の知識」です。お金の知識を得る意味は、単にお金について知るというものではなく、その知識≒情報の意図や目的、背景などをも知ることで時代の方向性を感じられるようになることです。

 古い知識を新しい知識に更新する。

​ この考え方が、令和という新時代を生きる上で、家計にとって非常に重要な意義を与えてくれるように思います。

​ 家計八策は、何も特別なことを言っているわけではなく、言われてみれば実に当たり前のことです。

​一、家族で協力する

​ 今日のような日本社会において、案外見落とされがちなのが「家族との協力」です。当たり前すぎて意識すらしないかもしれませんが、家計運営において、この点は最も重要なことといえます。

 人生八策で「七、家事・育児・介護をする」を取り上げているのは、日々の生活が「時間」との戦いであるからです。ゆったりとした時間を過ごすには、家族で協力して家事を行う必要があります。

 家族との協力には、時間の確保だけでなく、家計面でもプラスのメリットがあります。例えば、わかりやすい例を挙げると、独身世帯よりも、核家族世帯よりも、三世代同居世帯の方が一般的に世帯収入をより多く確保することができます。もちろん、家族の人数が多ければ多いほど支出も増えますが、それ以上に稼ぐ力を備えることができるため、必然的に家計に余裕が生まれやすくなります。

​ 今後、高まりを見せる少子高齢化社会では、必ずと言っていいほど「人手不足」の問題が生じます。その時、家族でいかに協力体制を築けるかが難局を乗り切るポイントになります。お金はそのような体制を整えるために活用します。

​二、家計を管理する

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